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— VOYSONIC(以下:ボイソニ)はすでに大阪インディーズバンド界隈では夏の風物詩となっている。ここ最近は「サーキットイベントの乱立」ともいえる時代に突入した。ボイソニはそれに先駆けて2012年より毎年夏に行われてきたPangea、CLAPPER、FANJ Twiceの3会場を利用したサーキットイベントである。

 ボイソニのイベント名は心斎橋FANJ店長城本氏のあだ名「こんぼい」に由来している。しかしながら、イベント名に自身の冠をつけておきながら、第三者から彼の素性・思考・信念に迫る機会は公的なものとしては一つも発信されることはなかった。

 今回、こんぼい氏について、普段から交流の深いcraft rhythm temple古迫氏と共に、イベントの核心に迫るインタビューを敢行した。気心のしれた仲なので、楽しくなって話が脱線することもしばしばあるが、二人の関係にも思いを馳せながら読んでみてほしい。段々ボイソニというイベントが気になってくるはずだ。

 インタビューは大きく分けて、①イベントのコンセプト、②各出演バンド紹介の2部に分かれるが、今回は①の部分のインタビューを掲載する。

 

(文責:16ビートはやお(Emu sickS))

インタビュアー:古迫(craft rhythm temple)

 

− ………。

 

こんぼい え?質問とか投げてくれないんですか?え?

 

− えー、今年の8月20日にボイソニックというイベントが開催されるにあたって、色々お話を聞こうかなと。とりあえず生い立ちから語ってもらうというか。

 

こんぼい 1986年に関目近くの病院で生まれました。両親は社内恋愛です。のちに離婚します。

 

− 離婚。

 

こんぼい そして高校とか大学の時は本当に競馬が好きでした。すでに。大学を出たら北海道の牧場で働いてやるんだって思っていて。

 

− それは音楽と出会う前?

 

こんぼい そうです。楽器始めたのも大学からなので…。大学に入って楽器はやりたいなってぼんやり思っていて、音楽系のサークルに入り、そこで名づけられた名前が「こんぼい」なんです。

 

− そこで楽器を始めて、こんぼいが誕生したわけですね。そこからバンドを始めるわけでしょ。それでまたライブハウスで働くっていうのはどういう経緯からなのかな?

 

こんぼい 大学のサークルはコピーバンドばっかりで。それが面白くないなって感じていて。とあるオリジナルバンドに入ったんですよ。そのバンドがよく出ていたのがFANJ Twice。外タレのOAもやったりして。就活もせずにがつがつバンドをやってました。

 

− もう音楽で食べていこうとしてたってことよね?

 

こんぼい そうですそうです。そんな時期にバンドが解散してりして。そんな時働いていたバイト先が閉まることになって。その翌日にFANJ Twiceから「働かない?」ていう電話が来て。ああ、これは運命だなって。22歳くらいのときです。そしてそれで入った半年後くらいに他のブッカーが辞めることになって、流れでブッキングを任されることになって笑。

 

− 無茶振りだよね笑。そんな無茶振りを受け入れつつも、どこか面白さみたいのものを感じたりしていたわけだよね?

 

こんぼい そうですね、面白さは感じてました。このバンドとこのバンドの組み合わせが…!みたいな。ブッキングに徐々に力を入れ始めて、25歳のときに心斎橋FANJに移ってきたんですよ。

− そのころに俺と知り合ったのか。

こんぼい 某コンビニで古迫さんと知り合ったんです笑。

− こんぼいの家の近くの某コンビニで働いてた笑。

こんぼい お互いうっすらと愛想のない店員やな、愛想のない客やな、と思っていた節はあったみたいで笑。

− その後ライブハウスの打ち上げで会って、「あ、この人知ってる!!」ってなって笑。

こんぼい そしてあれよあれよとFANJの店長になりました笑。

− 今すごい端折ったよね笑。なんでボイソニックをやろうと思ったの?

こんぼい 元々は僕の誕生日イベントです。最初サーキットはPangeaとCLAPPERでやってて。今や売れっ子のキュウソネコカミとか、Suck a Stew Dryとかroot13.とかを呼んで。一年目はFragileも出て。それ以染にが到着しない事件も起きたり笑。

 

− サーキットという形態やろうと思ったのはなんでなの?時代的には先駆けていたとは思うけれど。

こんぼい 単純にサーキットが流行りだしたんですよ笑。

 

− 流行りだすちょっと前じゃない?

 

こんぼい あ、これは、F.M.Wの影響ですね…!F.M.Wを横目にみながら、自分の好きなギターロック勢とか、アンダーグラウンドな感じところと混ぜてサーキットしたら面白いんじゃないかなって思い始めて…!

​ (※F.M.W…MINAMI WHEELのカウンターカルチャーとして、2009年〜2011年まで難波ROCKETSにて行われた深夜イベント)

− 少なからずF.M.Wから影響を受けて、俺もこういうのやりたいなっていう。

 

こんぼい もっと発信して、良いバンドだっていうのを知ってもらえたらなって。その口実としての誕生日イベント笑。

 

− ちなみにMISOJI CALLINGはボイソニを大いに参考にしているけどね笑。

 

こんぼい タイムテーブルも頑張れば少しずつでも全部見れるっていうのに重きを置きました。ちょっとずつでも良いから見てくれ!と。お客さんもこういう場だから初めて見れるバンドを見て欲しいし、ボイソニ初出演の「誰こいつら?」みたいなバンドをまず一回見て欲しいんです。

 

−(はやお) 僕らとかは複数回出ているので、違う角度で何かしら面白くしていけたら良いですね。

 

− F.M.Wの影響があったにしろ、ボイソニを始めた時は今ほどサーキットイベントが乱立してなかったじゃない?サーキットイベントが飽和しつつある現状についてどう思う?

 

こんぼい んー、イベント自体に色があれば良いと思いますね。まだ「とりあえず2会場借りてみました」みたいな風潮が大半だと思うので…。あ、あとは最近バンドはみんな他力本願すぎじゃない?と思ってます。話が逸れますが大丈夫ですかこれ…?

 

− いい球がきた。

 

こんぼい まずバンドがワンマンで150人埋まる努力をしてるのかな?って。「あなた方だけでは魅力が足りないんじゃないの?」って思ってて。自分のこと自分のことって考えている割には、自分たちを好きでいて欲しいって思う気持ちが意外と薄いんじゃないかなって。

 

− 他力本願っていう意味では、一時期フロアライブイベントが流行ったように、最近はサーキットイベントが流行ってて、それにただ乗っかるような形のバンドが多いのも事実ですね。

 

こんぼい まぁ単純に盛り上がりますしね。僕も後から乗っかったミーハー組なんですけどね。でも信念は捨てたくないです。念頭には売上よりも、バンドが「あのイベントでたい」って言ってくれるほうが嬉しいなって。

 

− ボイソニを目標にしてる若手バンドも増えているわけじゃないですか。

 

こんぼい 少しずつですけどね。そう思ってくれるのは伝わっている証拠かな、と。今まで出てくれたバンドが頑張ってくれた証ですけどね。

 

− 突っ込んだこと聞くけど。ボイソニを目標としてる若手が少なからず出てきている状況で、ここから先はどう考えているのかなって。あなた今後のことを自分でSNSで匂わせているじゃないですか笑。

 

こんぼい 規模を大きくするつもりもないですし、変えるつもりもないですけれど、ボイソニックは今年で一旦終わりになります。一旦区切りたいです。休憩というか、「やらなあかんな」って義務感になったら負けだと思うんです。

 

− 「100%でやりたい!」って思わないと駄目なわけね。とりあえず、今年は全力でやり切ることは勿論考えていて、来年以降はとりあえず考えていないってことですね、現時点では。

こんぼい そうです。だから来てほしいですね!今年で30歳になるので一つの区切りかと。

 

− ボイソニックの集大成というわけですね。音楽関係者のそういう言葉は信用出来ないですけどね笑。

 

こんぼい 笑。再結成ブームでもありますしね…。

 

− あの日の涙を返してくれ笑。嬉しいけど。ともかく今年は絶対来て欲しいと!

 

こんぼい 行きたいけどどうしようかな…、って思っている人こそ今年は絶対来てください!Twitterとかで「行きたいけどどうしよっかなー」って言ってて結局来れていない人たちを知っているので。見ているぞ。皆が必死に会場を回っている姿を見るのが楽しいので。一番必死に回っているのは僕ですけど笑。

 

− 関目で生まれた公明くんが…。

 

こんぼい やめろやめろ!親戚みたいだから!笑 ともかく、こう色んなジャンルをしっかり混ぜたかったところもあるので、しっかり見て欲しいですね。

 

− あー、でも、ジャンルが混ざっているだけに、お客さんが二分化されている印象もある…。もう少し上手く混ざったらなーと思う部分は…

 

こんぼい あー、でもね、そこは僕の頑張りの部分もあるけれど、バンドの頑張りも大きく影響するなと、正直。二分化していても、お客さんを取れているバンドは取れているのは事実としているし。

 

− イベントにはまってないんじゃなくて、はめろってことやね。

 

こんぼい これはどのサーキットにも共通して言えることですね

− 確かに安直にイベントのせいにだけするなって思う部分はあるよね…。

 

こんぼい お客さんを呼んでくれて当たり前、反応してくれて当たり前じゃないんで。正直オファーを受けた時点で覚悟をしろとは思うよね。

 

−(はやお) 多くのバンドの耳が痛くなるようなお言葉。

 

こんぼい イベントを打つ側もちゃんと伝えないといけないところですね。「自分らのライブの時に全然お客さん入ってないかもしれないけど大丈夫?」って。「それを改善できる策ある?」って。準備をして成功したバンドもいますし。呼ばれてきました出ましたーだけじゃスベるぞ、と。サーキットこそおいしい話なのに、受け身になってどうするんだと。ビラまきでも何でも、攻め姿勢が大事だな、と。

 

− 当日まで何見るか決めていないお客さんも多いですしね。今年ボイソニックに出るバンドはそれを心にとどめておけと。

 

こんぼい 頑張った分返ってくるものもありますし。

 

− 全部が報われるわけじゃないけどね。ただリングにもあがってないのは意味が無いよね。

 

こんぼい それは意味は無いです。

 

− まぁボイソニックはこういうコンセプトでやってるわけじゃないですか。業界の人ほどこういう「現場」を知ってほしいなと思うところはありますね。

 

こんぼい …でも、知名度がなかったら振り向かないでしょ笑。知名度もバンドの実力の一つでもありますし。知名度だけでバンドを図るようなことは良くないですけど。

 

− そこばかりになるのは良くないよね。

 

こんぼい ただ商業として成り立たせるには券売が大事ですからね。そこは一要素としては必要な部分ではあります。ただちゃんと楽器の練習はしろとは思いますけどね。

 

…Part2へ続く…!!!!

本記事でこんぼいという男の素性が明らかになったところで!!

次はいよいよボイソニックに出演するバンドを紹介していくぞ!!!!!

​震えて待て!!!!!!!!!!

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