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人生の誤謬

試しに警備員のアルバイトをしてみたことがある。

ある日、警備員の歯の抜けたおっちゃんと話していた(ちなみに警備員には歯の抜けた人が多い。どうしてだろう。)

「警備員はな、なんにもないことが仕事なんだ。12時間働いて、なんにも起こらない。

一日が終わった時に、あぁ今日も何も起こらなかったな、って思うんだ。

これまで10年以上働いてきたけど、なんにもなかった。

きっと明日も何も起こらない。明後日も、明々後日も。

俺の人生はきっと何も起こらないまま終わる。人生の切り売りでお金をもらって、ご飯を食べていつか死ぬだけ。何のために俺、生まれたのかなぁ。」

哲学は道に転がっている。

その夜は色々考えて眠れないと思ったけれど、よく眠れた。人生ってそんなもんだ。


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