大学院の友達と会った話
ポストパンク・リヴァイバルに最大の敬意とリスペクトを払い、再解釈した上で更にリヴァイバルを目指すバンド『ZOOZ』のMVが公開されました。
(Aim forと言います。)
どうやったら音楽が真ん中にある状態で良い映像ができるんだろうと考えて考え抜いた結果、「ストロークスにしてください!」という、美容院に行ってそこに設置されている雑誌の中で一番開かれたであろう頁を開いて「この髪型にしてください!」ばりの単純明快さのもと作られた映像になりました。
(これ大好きなストロークス)
ストーリーや仕掛けに凝ったMVの潮流とは敢えて距離をおいたような、「我思う故に我あり」くらい原点の原点に立ち返った、スパッとした男気みたいな気合いを感じてもらえればと思います。まさにバンドのスタートという感じ。雑味なしって感じ。
話は横道に逸れるけれど、改めて友達は良いなって話を書き残しておきます。
Emuの活休後、ZOOZ始動を解禁するまでの何か月かの間に、外国にいた大学院の頃の友人が日本にしばらく帰ってくるという連絡をもらい、久しぶりに会って飲みに行った。
会う事自体が3年振りくらいで、僕は彼の近況を「頑張ってるんだろうなー」くらいしか思っていなかったのに、彼は具に僕の動向(ふざけたアザラシ含め)をチェックしてくれていた。しかも外国から。本当にいいやつだなと思った。
簡単に言えば、彼は歴史学を探求する「研究者」だ(そしてベースも弾けるしTera Melosも好き)。
僕とは大学院の2年間、その時期が偶然重なっただけにすぎぬ仲なのかもしれない。
それなのにこうして離れた後も時折会う事ができるのは稀有な仲間な気がする。
会っていない間、彼はずっとひたすらに研究者として鍛錬していた。
一方で、僕はすったもんだで転職を繰り返し、果ては彼も応援してくれていたバンドも止まってしまい、非常に自分が情けなくなっていた。
まぁでも、色々話しているうちに背筋が伸びてきて、僕がZOOZをはじめること、彼の研究や日々のもがきの話など、色々なお酒を酌み交わしながら話した。ふざけた話も沢山した。
そして、それらの話の下地になんとなくあったのは「生き方に向き合う人に対して敬意を払う」ということだった。
最終的には酔っ払って、「研究者もバンドマンも漫才師もみんな似ていて尊敬する」(漫才師はどこからでてきたんだろう)と言って解散した。
結局は、過去の人達に敬意を払い、かつ、それらの人達を乗り越えようとする試み、いわば「知の結晶」に挑む活動すべてにリスペクトを抱かざるをえない、ということだった。
それは学問でも音楽でも演芸でも同じ、というわけだった。
3時間という短い時間だったけれど、僕は至極救われたし、燻っていた僕の中の音楽哲学が再び息をしだしたような気がした。友達は良いなと思った。
あの3時間が作用したのかどうかは分からない。けれど、ZOOZの活動の指針に活かされているような気がする。
真っ直ぐなMVはそんな姿勢を表す一部になっているだろうなと思っている。