頭はギガンテス、体はキラーマシンのドラマーがレコーディングに入った話
ビートそのものになりたい16ビートはやおです。
ブログを書こうと思っていたら、「久しぶりに書く」という行為自体がZOOZのベーシスト、ジョーザキくんに先を越され、書こうと思っていた題材も、先を越されていた。
なんだか意味もなく悔しいが、これはグルーヴなんだと納得している。
最近は大事にしているのは「違和感に正直になること」。良い違和感をなるべく良い違和感のまま残し、悪い違和感に対してはなるべく関わらないよう距離をとったり、必要であれば潰していくことで、自分の心を健康に保つことにしている。
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今月ZOOZはレコーディングに入った。
ZOOZはHidden Placeという堺にある今年新たにできたスタジオでレコーディングしている。
まず環境が良い。寝泊まりするところが寺、レコーディング・スタジオが蔵(HP見ると一発で分かる)。
ホラーゲームの影廊によく似ていて、ひんやりとした質感が非常にそそる。
このスタジオにはTAMIWというバンドの方々が深く関わっていて、エンジニアの田口さんは、音のイメージに対する意思疎通に関して言語的な障壁が一切ない。これは非常にすごいことで、僕のあやふやなイメージ(もうちょっとドラムのここの部分、ザラッとした感じがいいなぁとか)をすんなり音に落とし込むのは、簡単にやっているようでとても高度な現象だと思う。
そもそも最初の音作りの時点でほぼほぼ僕らのイメージを汲んだ状態なので、そういった摺合せがほとんど必要なくなってグッと時間が短縮される。
関係ないけれど、最近になってGoogle Mapに「Hidden Place」が表示されるようになったみたい。前までそんなことなかったのに。全然Hiddenできなくなっていた。良いものはいくら隠れても溢れ出してしまうということか。
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僕が今回レコーディングで個人テーマとして隠し持っていたのは「感情を入れ込むこと」。
ZOOZのレコーディングの場合、基本4人せーので演奏して、後から歌や他の重ね録りをしていく。
ドラムに関しては良い違和感は残すし、悪い違和感のときはテイクごと録り直す。基本的にそんなに細部まで固執しない。音に感情が乗っているかがどうかで判断していた。
そもそも技量的な部分でレコーディングに至るまでに詰めきれてない細部は結局当日に叩けるわけはないし、当日に気づく時点で練習不足である。だから普段から結構しつこく個人練習に入って、悪い違和感は潰しておいた。
今回は特にそれが活きて、「上手く叩かなきゃ」みたいな部分に意識を持っていかれることはなく、木彫師が作品に魂を入れ込むがごとく「感情を入れ込む作業」に集中できた気がする。
僕以外の3人は演奏前にキャッキャしていたりした中で、僕は虚無僧のごとくドラムに鎮座していたので、ジョーザキくんとかは「あれ?」みたいな顔をしていたけれど、うまく集中できていた証拠でもあった(本当はキャッキャしたかった)。
(こんな感じのところで演奏しています)
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今回、ライドシンバルとクラッシュシンバルをテルシさん(uniTONE / HELLO, SADNESS)からお借りした。
「きらびやかというよりかはちょっと枯れた音のほうが似合うけん」と言われ借りたシンバルの音は上手くバンドサウンドの中に溶け込んでいったように思う。
音に関して的確なアドバイスをくれる稀有な先輩ドラマーなので、 アレクサみたいな感覚で呼び出したいくらい良かった。
僕は本当に脳筋ドラマーなので、体の感覚でしかドラムを把握していない。ドラクエで言うところの頭はギガンテス、体はキラーマシンと言ったところで、機材に関するかしこさはゼロである。
以前までドラムのスティックはスティックの形をしていれば何でもよかった。叩けば音がなるし。左右の手に持っているスティックのサイズもバラバラで、その違和感を楽しんでいる気配すらあった。
だけどこれを「悪い違和感」だと見直して、最近は一応スティックを統一した(それでもAmazonで下から3番目くらいに安いやつ)。ひのきのぼうからこんぼうくらいには進化した。
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というわけでドラム録りはスムーズに終わったし、自分の中の哲学も詰め込まれた。
せっかく音楽を音源に封じ込めるなら、なるべく耐久力の高い音にしたいし、良い違和感が残り続けるものにしたいなと思う。レコーディングはまだまだ途中段階。次またレコーディングスタジオに入ったときに、続きの部分を重ねていくことになる。楽しみ。
音源については、続報をお待ち下さいね。